子ども目線から“歩きスマホ”を考える

赤ちゃんや小さい子どもを連れている母親や父親が携帯電話やスマートフォンに夢中になっている姿を街中でもよく目にします。子どもの手をひきながら、ベビーカーを押しながら、子どもに食事をさせながら、親の目は端末にくぎ付けです。そんな姿を見るたびにハラハラさせられます。

先ごろ、米フィラデルフィアの駅のホームの監視カメラに撮られていた、携帯電話で話をしながら歩く人がそのまま線路に落ちてしった姿の映像がyoutubeにアップされ、ニュースになっていました。携帯電話やスマートフォンに夢中になっているといかに私たちの五感は周囲の情報を拾えず、注意散漫になってしまうのかを改めて思い知らされました。 これほどまでの危険はまれだとしても、いわゆる「歩きスマホ」、つまり携帯端末いじりをしている多くに人に多かれ少なかれ注意散漫が起こっているということです。つまり、携帯端末に夢中になっている子ども連れの大人は子どもへの注意や関心が薄くなっているということです。

子どもは親が自分のそばで電話やネットに長時間夢中になることをとても嫌います。邪魔されたり、ぐずられたりした経験はないですか?それは、子どもが親の関心が自分の方に向いていないことを敏感に察知しているからです。前のコラムでも書いた“近接分離”を体験しているのです。

子どもは一緒にいる親の関心を自分の方にむけて欲しいのです。自分の信頼し愛する親が、携帯や端末の向こうの姿の見えない誰かとつながって自分がおいてきぼりになっていることを子どもは感じて、自分がのけ者になったようで不安になります。

どうしても電話をしなければならないときは、子どもの不安な気持ちを理解し、何故電話をする必要があるかを説明して、短時間で会話を終えるとよいでしょう。また、電話やメールをしているときに子どもが不機嫌になったり、ぐずったり、呼びかけたりしたらいったん中断して、応答するようにしましょう。“無視される”ことほど子どもの心を傷つけるはないのです。幼い子どもにとって5分間は永遠のように感じられる時間だということを理解してあげてください。

「ずっと子どもだけといると孤独で退屈でついネットに・・」というお母さんのお気持ちもよくわかります。たしかにこれまでは大人同士の会話があったのに、時には子どもなしで自分のしたいこともやりたいだろうと思います。子どもが昼寝をしている間、または夜8時までには寝かせて、その後に大人の時間を持つようにして自分のニーズを満たす方法を考えてください。
親が子どもに安全、安心感を与え、愛着関係を築き、人格の基礎を作ってあげるのは0歳から5歳の間です。基礎ができればできるほど子どもが親を必要とする時間と密度が少しずつ減ってあなたの親としての仕事が楽になってゆきます。 自分の欲求も上手に満たしながらバランスよく子どもに向き合っていくことが大切なのではないかと思います。