「感情」はコントロールできるのか?
自分の感情とはいったい何なのでしょう。
「感情」とはもともと、体のなかで起こる反応にすぎません。
だから感情自体によいも悪いもありません。
たいていの場合、多くの人はそのことを誤解し感情を問題視する傾向があります。
「腹が立った」ときは、体のなかで何かが起こります。
例えば、体に力が入ったり、胸のあたりがバクバクしたり、頭に血が上る感じがします。
体はこのように反応するのです。
「腹を立ててはいけない」
「腹が立つという気持ちを持ってはいけない」
そう思われがちですが、これは不可能なことです。
頭では腹をたてないようにと思っても、体では反応がもうすでに起こっているのです。
あなたが好もうと好まなかろうと、体がすでに反応しているのです。
腹を立てた結果、時にはひとを殴ったり、どなったりしてしまうこともあります。
もちろん暴力も、どなるという言葉の暴力もよいことではありません。
ここで問題なのは感情が起こった結果なされた「行動」、「行為」であって、
「感情」自体の問題ではないのです。
何らかの原因で自分が動揺し腹を立てたときのことを考えてみてください。
人にそれを知られたくないと思っても、心拍が上がっているのを感じたり、顔が赤くなったり、血が上ってくるのを感じると思います。
「怒っちゃいけない」と思っても、このように体は反応するのですから感情はコントロールしようがないのです。
というのは、感情は自律神経がつかさどっているので、自分の意思ではコントロールできないものだからです。
わたしたちの課題は、感情を<うまく扱える>ようになることであり、
逆に問題は感情を<うまく扱えない>ことで起こるのです。
自分の感情を適切に扱えるようになると、他人の気持ちもわかるようになります。
そうすると、人の感情も適切に扱えるようになり、お互いが満たされる関係をつくれるようになります。
精神的に安定し、自分の気持ちを他人にもちゃんとわかってもらって話し合うことができたら、相手も気持ちがいいので、みんながどんどんwin-winの状態になり、その輪がだんだん広がっていきます。
ゆずり合い、思いやりが生まれ、もっと生きやすい社会になると思います。
(田中万里子「子どもの心育てワークショップ」より)