おなかの赤ちゃんは、すべてを知っています

人が成長とともに情緒安定をさせるためのベースになるものは何か、ご存じですか。

それは親子の「愛着関係」とよばれるものです。
赤ちゃんと養育者との間につくられる相互の信頼関係をいいます。
英語では「アタッチメント」と言います。英語のほうがよりわかりやすいような気がしますが、日本語では「愛着関係」と訳されます。

愛着関係は胎児のうちから始まります。

以前は、西洋の心理学の世界では、「おなかの中の胎児は何も理解できないから、お母さんの感情や赤ちゃんに対する気持ちはどうあろうと関係ない」と言われていました。

本当でしょうか?

従来、日本には「胎教」という考え方があり、それを大事にする文化があります。

お母さんの感じているポジティブな気持ち、ポジティブな精神状態は波長として胎児に伝わっている、という考え方です。

胎児についての研究は最近とても進んできており、さまざまなことがわかってきました。

私たちが妊娠に気づいた段階では、すでに赤ちゃんの脳の一部は出来上がっています。
そして、お母さんの感情の波長をキャッチしているのです。
だから、妊娠したことがわかっても不安で喜べなかったり、パートナーから「まだ赤ちゃんはいらない」と言われてショックを受けたりすれば、それは全てお腹の赤ちゃんに伝わってしまいます。

こんな例もあります。退行催眠で、自分の胎児のときの状況をしらべたときに、“パパは私のことをいらないと言っている”ということを知りショックを受けた方がありました。事実、親に確認すると、そのとき結婚したてだったので、まだ赤ちゃんはいらないという話をしていたのです。本当は子どもが授かって両親ともとてもうれしかったのですが、胎児にはそれは残念ながら伝わっていなかったのです。

つまり、ポジティブな精神状態だけでなく、ネガティブな精神状態も胎児に伝わるのです。

実際、妊娠中にパートナーとけんかばかりして、精神的に不穏な状態にあったお母さんのお腹にいたころ、胎児の自分が「私が生まれてもいいのかわからない。私が生まれるとお母さんがもっと大変になるんじゃないか」と心配していたという事例もあります。

妊娠されている方はパートナーも含めて、自分たちの感情がすべて赤ちゃんに伝わっていることを知り、その上でどういうふうに赤ちゃんの誕生を待ち望むかをぜひ考えていただきたいと思います。

(田中万里子「子どもの心育てワークショップ」より)