転校トラウマを防ぐには

親の転勤などで転校が必要なことを伝えられた子どもは、友人たちとの別れのつらさ、新しい土地への不安、新しい学校への不安を一人で抱えこんでいます。
こんなときに親ができることは、子どもに対して、一方的に転勤、転校の話をするのでなく、子どもの思いや気持ちを聴いてあげることです。

引っ越しや転校のことを聴いたときの気持ち、たとえば、びっくりした、がっかりした、またかと思った、などの気持ちや、さよならを言わなければならないお友達や学校の先生に対する気持ち、転校先への不安、新しい環境への期待やわくわくなど、さまざまな気持ちがあるはずです。

大人としては「転勤は仕事の都合だから仕方がない」という気持ちもあるでしょう。または、子どものつらい気持ちがわかりすぎるあまり、気持ちには触れたくという人もいるかもしれませんが、ただ「仕方がないでしょう、文句を言っても始まらないの」などと言ってすませるのではなく、お互いの不安や不満をわかちあい、どうしたら家族でこの大変な時を乗り越えていけるかを一緒に考える時間をもつことをお勧めします。

子どもでも大人でも、見たことがない知らない土地や国へうつることは想像がつかなくて、不安で、怖いものです。可能なら、引っ越し先の下見に行かれることをお勧めします。あまり時間がなくても下見という体験をすればそこでの生活を想像できるので、不安が減るものです。もし下見に行くことができないのなら、行く地方のことをインターネットや本や写真集、ビデオなどでも一緒にみてお子さんといろいろと話をされるのもよいでしょう。疑似体験であっても、想像もできない未知の場所ではなくなるのです。

お互いの気持ちをわかちあい理解しあうことは、不必要な空想を防ぎ、絆を強めます。
子どもは「わかってもらえた感」をもつことができると、どんなにつらくても次に進む勇気が持てるものです。

親御さんにとっても、転勤や引っ越しはストレス度の高い大変な時です。友人や親族の力を借り、不安や心配な気持ちを打ち明けるなどストレスレベルを調整して、できるだけ落ち着いた態度で子どもと接したり、話し合うようにしてください。

親が不安定になれば、子どもも不安になり、怖くなります。自分の気持ちをおさめてくれる人がいないと思うと自分の殻に逃げ込まざるを得なくなるのです。
新しい土地に移動したら、すぐに子どもを学校に入れるのでなく、数日間は新しい土地に慣れて、様子がわかるまで一緒に過ごされることが好ましいでしょう。
“子どもは引っ越しの片づけのじゃま”というような雰囲気で過ごしたまま、子どもを学校に入れると、ただでさえ動揺している子どもは居場所のなさを感じます。家の周りでお手伝いをしたり、買い物に一緒に行ったりして自然に土地に慣れるようなきっかけをつくってあげることも大切です。

子どもが低学年の場合は特に、新しい土地で親と終日別れて過ごすことはとても心細いものです。そのような気持ちをわかってあげて、一緒に学校の下見に行き、校長先生や担任の先生と会ったり、これから編入するクラスを遠目にみながら、校内を案内してもらったりしてから学校に行くようにすると、不安が軽くなり、転校しやすくなります。

大切なことは子どもの気持ちを理解し、寄りそうことを大切にした計画を立てることです。
もし、転校してから子どもが親や先生の期待通りに学校になじめなくても、とにかく子どもの気持ちを理解して、子どもと一緒に具体的な対策を立てることをお勧めします。

“転校したくない”とか、“友達と別れたくない”といった子どものつらい気持ちに共感することと、転校しないこととは違うのです。子どもは自分の気持ちが受け入れられて理解されていると感じると、余裕ができて、この事態を受け入れられるようになります。また、どのようにこの問題と取り組んだらよいかを自分で考えられるようになります。