下の子が生まれるときにしておきたい5つのこと(その1)

きょうだいが産まれるということが、上の子どもにとってどれだけ大きな出来事であり、親のかかわり方によってはその子の一生に影響するようなトラウマの体験になりうることなど、いままであまり考えられてこなかったのではないでしょうか。

私は長い臨床経験を通じて、多くの方の抱える問題の根底に下のきょうだいの誕生時のトラウマがあることに気づきました。下のきょうだいが産まれるときの上の子へのかかわりがうまくいかないと、それまでに築かれた愛着関係が損なわれてしまうことも多く、その結果、子どもが親に本音を言えなくなったり、嫌われないよう良い子でいようと無理をしてがんばり続けることが起こるのです。そして学校生活や社会生活でもこのパターンを続け、自分が本当にしたいことや考えていることと周囲の期待や要望との折り合いがつけられずに苦しむことになります。

それではきょうだいの出産にあたって親はどのようなことに気を配る必要があるのでしょうか。
上のお子さんが、きょうだいの誕生を受け入れ、喜んで迎えることができるために、親がしておきたいことを5つ、ご紹介します。

1.上の子が出産中に過ごす場所のことを親が事前に計画し、子どもの心の準備をする。
病院や産院など自宅以外で出産をする場合、1週間ほどの間、誰かが上の子の面倒をみることになります。
上の子の年齢にもよりますが、生まれて初めて母親と1週間も離れて過ごさなければならない子どもの心情を想像してみてください。

親の実家に子どもを預けたり、親の両親や親族に自宅に泊まりに来てもらいお世話をしてもらう人もいます。親にすれば自分たちの親やきょうだいに預けることは安心でしょう。しかし、子どもにしてみれば、夜、母親がそばにいないだけでも心細くてしょうがないのに、さらにあまり親しみのない人に囲まれたり、不慣れなお布団やベッドで寝なければならないほど苦痛で恐ろしいことはありません。自分だけがとり残された=“見捨てられた”ように感じるものです。

子どもの心を大切にするのならば、上のお子さんが過ごす1週間が日常とあまり大きく変わらないよう配慮するとともに、事前に何が起こるのかをできるだけわかりやすく説明し、子どもが何を心配しているかを聴いて可能な限り答えてあげることが大切です。また子どもがママと一緒にいるときに使っているベビー毛布、またはぬいぐるみの人形をそんなときに一緒に寝られるように用意してあげることも大切です。

・母親がいないことを具体的に説明する
「ママは赤ちゃんを産むために〇日間病院にお泊りしなければならないの。○○おばあちゃん(おばちゃん)がうちにお泊りしてあなたと一緒にご飯を食べたり、遊んだりしたりしてくれるんだよ。パパは、お仕事が終わったら夜帰ってきて一緒に寝てくれるからね」

・出産中お世話をする人と、子どもを交えてコミュニーションの機会をつくっておく
事前に交流を深めたり、可能であれば出産の入院の1~2週間前から家にきてもらって生活を共にしてもらうと子どもの動揺が少なくてすみます。(母親が信頼し仲良がよい人には子どもも安心して近付きます)

・里帰り出産の場合は、実家になじんでおく
実家での里帰り出産の場合は、妊娠中から何度かお母さんと一緒にお泊りをしたりしておじいちゃん、おばあちゃんの家での生活に少しでもなじめるようにしてあげることが大切です。
そして、「ママが赤ちゃんを産むために病院へ行っている間はおじいちゃんとおばあちゃんと一緒にこの家で寝て、ママが病院から赤ちゃんと一緒に帰ってくるのを待っててね。」というような説明をしてあげるとよいでしょう。このときにママは赤ちゃんが産まれても、前と同じようにあなたのことが可愛いし、大好きだからねと言っておいてあげると安心の元になります。

次回は「その2」「その3」をご紹介します。(5月12日更新予定)