“NO”のサイン

「突然キレる」「豹変する」という表現をよく聞きますが
実は、一見“突然”、“脈絡なく”のように感じる場合でも、
人がキレる前にはその素地やきっかけが必ずあります。

誰でも時にはイラッときたり、ムッとしたりすることがあります。
その原因を調べず、不快な気持ちにふたをすることを続けていると、
何かのきっかけで、ためていた感情があふれ出し
自制心がきかなくなり、キレるのです。

ひとたび感情が爆発したり、暴走してしまうと、
爆発した人も、された人も、それにまつわる問題を抱えるようになるので、
後始末をすることはとてもたいへんです。
ですから、人が気持ちを上手に表現できずに
抑え込んでいるときのサインを見逃さないことが大事です。

感情が言葉にして表現されるのは1割と言われています。
残りの9割は、表情、姿勢、声の調子、口調、など非言語で現われています
日頃から相手に関心を向けてよく見ていると、
感情が起こっているときのサインを感じとれるようになります。
特に、言葉にならない「やめて!」「嫌だ!」「違う!」
「もういっぱい、いっぱい」といった
“NO”や“不快”のサインを早めに感じ取れることができれば
感情が爆発、暴走される前に何らかの対処ができるようになります。
対処できないまでも、何かが起こりそうだという気付きがあると、
突然キレられたと感じて困惑するよりも心に余裕ができます。

ところが、人は自分が話したいことや、したいことに夢中になると、
目の前の相手の “NO”や “不快”のサインに気が付かないか、
感じ取れなくなってしまい、
〝突然キレられた″、となることがしばしば起こるので注意が必要です。

では、サインが現れたときには、どのように「対処」すればいいのでしょうか。
まずは、こちらが話したり、何かをしたりするのをいったんとめて
相手に注意、関心を向けなおしてみましょう。
そして、もしあなたに余裕があり、
相手の話を落ち着いて聴けるようであれば
「どうしたの?」「どうかしましたか?」
などと軽く言ってみて様子をみましょう。
もし相手が話をするようならただお話を聴いて
気持ちに寄り添ってあげましょう。

寄り添うというのは、相手がどのような状況で、
どういう気持ちや考えになっているかを
ありのまま受け入れて共感的に聴くことであり、
相手の言い分や見解を肯定したり、正当化したり、
良し悪しの評価をしたり、
解釈をしたりすることではありません

聴く側の人にいろいろな考えや感情が起こってきて
共感的になれないときは、「もう少し考えてみたいから時間が欲しい」などと話をいったん切り上げ、状況を落ち着いて考えてから再度話をすることが賢明でしょう。

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