あなたはなぜ、報われないのか
コラム「愛されている実感がない子どもたち」は
4年前に掲載したにもかかわらず、いまだに一番多く読まれています。
“愛されている実感がない”という言葉が響いて、
それを知りたい人がたくさんいのでしょう。
それはすごく残念なことだと思います。
親御さんに会うと本当に身を粉にして子どものためを
思っていろいろやっていらっしゃいます。
でも、残念ながら自分の想いだけで一方通行なことが多いのです。
子どもが何を欲しがっているのか、どうしたいのか、
どうして欲しいのかを聞かずに
自分の思い込みだけで一生懸命動いてしまう。
それがあだになるのです。
私のところに来られたラテンアメリカ系の年配の女性が、
「私は子ども達のために全てを犠牲にしてきたのにわかってもらえない。
誰もありがたく思ってくれていない。
私のことを全然考えてくれない。
いったい私は何が悪かったの?」
と話されたことがありました。
その話を聞いていて私は言いました。
「お子さんのために一生懸命されたのですね。
でも一番の問題は子どもに“思いやり”を教えなかったことですね」。
人は「人間」、つまり「人の間」と表すように、
双方の関係で成り立っているものです。
一方通行ですべてやって「こんなにしてあげたのだから感謝して」と言われても、
“ありがた迷惑”だと思っている人は感謝できないでしょう。
ひたすら相手のためを思って一生懸命やってきた人は
骨身を惜しまず、自分を犠牲にしてやってきたのにわかってもらえない。
その原因は双方のコミュニケーションができていなかったところにあります。
日頃からこちらの思いだけで行動するだけでなく、
どんなことをして欲しいのか、何が希望なのか、
どうしてもらったらうれしいのか、
といった相手の思いを尋ねることが大切です。
一方通行のコミュニケーションで育った子どもは、
“思いやり”を体験していないので、
思いやりが足りないと言われても、どうしたらよいかわからないのです。
大人が子どもの気持ちや願望を尋ねることで
思いやりを体験させることができるし、
子どもが思いやりの気持ちを持てるようになるためのモデルにもなれるのです。
また、こちらの気持ちや要望を伝えることで
人のことも思いやるチャンスを作ります。
そしてお互いの気持ちやニーズを分かち合い、
お互いが納得するまで話し合うことで
“思いやり”のある子が育っていくのです。
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