子どもと「性」の話ができますか?

私の娘が3歳の時のことです。
夕飯の支度をしていると、台所で遊んでいた娘が突然

「ねえママ、パパはどうして精子が一個しかなかったの?」

と尋ねました。
私は一瞬びっくりしましたが、落ち着き直して娘に尋ねました。
「それはどういうこと?」
娘は待っていましたとばかりに言いました。

「今日、幼稚園で精子と卵子が一緒になって赤ちゃんができると聞いたの。
(友人の)ミミちゃんのお母さんは3人子どもがいるから、
ミミちゃんのパパは精子が3個あったということでしょう?」

娘の通う幼稚園ではそのころ、兄弟が産まれる子どもが増えていました。
「赤ちゃんはどこからくるの」という子どもたちの質問に答えて、
先生が精子と卵子の話をされたのでした。
運よく私は心理学のプロフェッショナルトレーニングの一環で必須の
Sexuality Training(性に関する一連のトレーニング)の授業を受けていたので、
落ち着いて娘の質問に対応することができました。

私は幼稚園の子ども向けの性教育の絵本をみせながら、
精子と卵子が一緒になって赤ちゃんができるのだけれど、
精子はたくさんあって、一個の卵子に向かって競争している。
最も強いのが卵子と結びつくのだと、3歳児にわかるように話しました。
「フーン」と娘は納得したようで、その話はそのまま終わりました。

このように子どもの興味は長続きしません。
興味がわいて質問をしてくる都度、
それに対して小出しに情報を与えることが大切なのです。

小さい子どもは、どこかで聞いた話を自分に当てはめて興味を持ちます。
そして自分がわかる範囲で理解して、
まちがった思い込みをしたりしやすいものです。
大人はそんな子どもたちにどのようなトピックスを投げかけられても、
落ちついて対応することが大切です。

性に関しての質問は、親であれ、プロフェッショナルであれ、
ドギマギさせられることが多く、あいまいにしたり、叱ったりして、
子どもに性については大人に質問してはいけないという印象を与えがちです。
また、
「子どもを相手にどこまで話したらよいのかがわからない」
と戸惑う人も多いです。

男の子から
「ボクはどこから来たの?」
という質問を受け、親が緊張しながらも
「精子と卵子が結合してママの子宮で育って…」
と話しはじめると、
「ボクそんなこと聞いていないよ。サンフランシスコかシカゴかを知りたかっただけだよ」
と言われて恥ずかしい思いをしたという話も聴きました。

親御さんをはじめ、教師や保育士の方々、
医療職、心理職など子どもや青少年にかかわる立場の皆さんは
落ち着いて体や性の話をすることができ、
子どもたちの疑問に対応できるように学んでおかれる必要があるのではないかと思います。

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