子育ては理想通りにはいかない
本や雑誌やインターネットにはたくさんの子育て情報があふれています。
そこに書かれていることを学ぼうと思いながらも、「こんなこと、自分にはとてもできない」とがっかりしたり、自分の子育ての悪い点ばかりが気になり自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。
理想的な子育て論を学んで、その通りにできたらいいのですが、正直にいいましょう、実際はできません。
それは、なぜか。
あなたが、ひとりの「人間」だからです。
あなたの子育ては、その時の自分の「最善」なのです。だれもが一生懸命やっている。でもゆっくり考え、いろんなことを学んで振り返ってみると、それが「最悪」だったりする。
そんなとき、私たちは「これからは直そう」と自分の気持ちを切り替えていくしかないのです。
私の父はキレやすく、よく子どもや家族にどなる人でした。どなった後に本人が「どなってしまって悪かったなあ」と思っている様子が雰囲気で伝わってくるのですが、それでも絶対にあやまることはありませんでした。
どなられるたびに、私は子ども心にも無性に腹が立ちました。ひと言「どなって悪かったよ」と言ってくれればそれで終わったのに、その一言がなかったために終わらなかったことがずいぶんあります。
人間なのですから、失敗があって当たり前です。
「あ、しまった!」と思ったら、そこで直せばいいのです。
そして、子どもに対しても素直に、自分が間違ったことを認めることが大切です。
「さっきはきつくしかり過ぎたかも?」というときに、「おかあさん、どなるつもりはなかったんだけど、腹が立ったからどなっちゃった。ごめんね」と子どもに話す。
もちろん、毎度毎度親にこう言われたら子どもにいやがられますが、それでも何も言わないよりはましなのです。
(田中万里子「子どもの心育てワークショップ」より)