テレビで大震災を見るのがつらい…

今年もまもなく3.11がやってきます。毎年、この日が近づくとテレビ番組は東日本大震災特番を組み、震災当時の大きな被害や被災者の状況を見る機会が増えます。

あの大震災直後には、実際には地震や津波の被害はなかったのにもかかわらず、大震災後体調が優れない人がたくさんいました。その人たちの中には「震災後テレビを見続けていた」「停電が回復して電気が通じてテレビを見てからおかしくなった」という人が少なくありませんでした。

これらは二次的なトラウマを受けることによって生じた症状だと考えられます。

かつて経験したことがないほどの大地震や津波の映像を目の当たりにすると、その瞬間に私達は圧倒されて、そのときの五感で取り入れたすべての情報(光景、音、声、雰囲気など)と圧倒された身体・生理的な状態がセットになって取り込まれ記憶してしまうのです。つまり身体にとってはあたかもそこにいるような衝撃的な体験、つまり疑似体験をしていることになります。

いま、再び映像を見ることで記憶が呼び起こされるたびに、身体は恐怖と混乱で硬直した状態に引き戻されます。

そのたびに身体は身構えて緊張感が抜けなくなり、漠然とした不安な気分になりがちです。

話を冒頭に戻しましょう。
震災特番が増えるなかで、あの時の恐怖を再体験し、不安な気分を引き起こさないためにどうすればいいか。

私たちがおすすめする方法には次のようなものがあります。

  1. 震災関連情報を見る機会を意図的に減らす

    無意識に情報が飛び込んで来ないよう、テレビをつけっぱなしにせず、見る番組や時間帯を決めて見る。

  2. 一人でボーっと見続けることを避ける:

    誰かと一緒に見て、意見や感想を語り合ったり、気持ちを分かち合うようにしましょう。
    特に幼い子どもにひとりで震災の映像をぼーっと見させることは避けましょう。

  3. 自分の身体の反応を自覚する

    テレビを見ている間に自分の身体の反応に意識を向け、動揺、不安、不快感などの反応が起こっていたら、その気持ちを感じて、言葉にして誰かと分かち合いましょう。
    まるであの時に引き戻されたように感じてつらい場合は専門家に相談をすることをお勧めします。

  4. テレビからだけではなく、他のメディアからも情報を得る

    テレビを見ていると、意識的でなくても五感は刺激を受け情報を取り込み、過去の記憶を検索し、身体は無意識に反応しはじめます。新聞やラジオなど他のメディアにも接することで、無防備な情報の摂取を制限することになり、自分を守ることができます。

いかがですか。

あふれる情報の渦に身を任せるのではなく、適切に情報を選択して、自分の心と身体を守ってくださいね。