被害者転じて加害者になる
被害者が一転して加害者になることは、しばしば聞く話です。
例えば、部活などで殴られて育った人が、指導者になったときに生徒を殴ったり、怒鳴ったりする。
暴力でなくても、無視や人前で辱めを与えるなど精神的苦痛を与える。
赤ちゃんや子どもが虐待される事件報道も枚挙にいとまがありませんが、幼少期に虐待を受けて育った人が親になった時、子どもを虐待する例も少なくありません。
「自分がされて嫌だったことをなぜ人にするのか理解できない」と
人は口々に言いますが、
誰でも気づかないうちに、自分がされて嫌だと思っていることを人に対してやってしまっているものです。
どうしてこのような現象が起こるのかというと、
自分が他人にされて嫌だったことがトラウマ体験となって未消化で残っているからです。
だから、自分がされて嫌だったことをつい反射的にしてしまうのです。
私たちは立場が圧倒的に強い人から理不尽に暴力、暴言などを受けると、
逃げることも反撃もできず、混乱と恐怖で凍りつきます。
身動きが取れない無力感とともに、
「自分が悪いから仕方がない」と自分を納得させたつもりでも、心の中では
「なぜそこまでされなければならないのか!」
という怒りや恨みを溜め込み、それをどうにか抑え込んでいるのです。
時間が経ち、自分では忘れていたつもりでも、似たようなことに遭遇すると、
かつて抑え込んだ恐怖。混乱、怒りなどがわっと沸き起こってきます。
たとえば、言い訳をして殴られた体験を持つ人が
他人が言い訳をしている場面に遭遇すると、
無意識のうちに自分が殴られた体験がよみがえり、
我を忘れて、言い訳をしている相手を殴ってしまう。
そして、決して自分はするまいと思っていることをしてしまった自分を責め、
自己嫌悪に取りつかれて悩むのです。
このループを断ち切るためにはどうしたらよいでしょうか?
被害者転じて加害者になったときにまず必要なことは、
自分を責めたり、罰したり、やたらと反省をすることではありません。
加害者となった自分ももともとは被害者であったことに気づいてください。
そして、被害を受けた過去の自分に深く共感するプロセスをふむ必要があるのです。
深いレベルの共感は過去の恐れ、ショック、心の痛みを癒します。
そうなると、相手に対して共感的な自分を見出すことができるようになるのです。
心理療法CoreAccess9は、熟練のセラピストの援助を得て、過去の自分の内面と向き合い、
クライエントの抱える問題の根本的な原因を探り、記憶の奥に閉ざされた過去の情動記憶(混乱、ショック、恐怖、恥、怒り、不安、緊張など) を解放し癒す、パーソナルセッションです。
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