親としての大切な役割

「うちの子、もうちょっとでいじめに遭うところだったのよ。」
大学教員時代のある日、職場に行くと、小学校5年生の男の子を持つ同僚が言いました。

聞けば、息子さんの学校で性教育の授業があったそうです。
彼女は授業当日の朝、子どもが性教育の授業を受ける許可書にサインして(当時の米国では必要でした)、
「どんなことを習って、どんなことを考えたかをママに教えてネ」
と言って学校へ送りだしました。
その夜、彼女が家へ帰るなり、息子はすっとんできて
「ねえママ、ボクもうすぐ生理がくるようになるんだよ!」
と言いました。
びっくりした彼女は男の子と女の子の身体の違いを
その場で教え直しました。

この子はお母さんに何でも率直に話せたから
誤解をいち早く解くことができたのですが、
「僕、もうすぐ生理がくるんだよ」などと友だちに言ったら、
笑われたり、からかわれたりして
仲間からいじめられることになってしまったかもしれない、
と彼女は話していました。

教育現場で正しい性情報が教えられるのは好ましいことですが、
男の子、女の子、どちらにとっても興味津々で、
なんとなく照れくさくて、
気恥ずかしさが入りまじった気持ちでいるので
まじめにきちんと聴いてはいません。
子どもが学校で性教育を受けたときは、
親は子どもが情報を正確に受け取ったかどうか、
そして混乱や不安を持ったままでいないかどうかを確認するために
「今日どんなことを学んだの?」というような問いかけをして
子どもの理解を確かめるとよいでしょう。

私たち大人も性に関する情報は恥ずかしさがともなって、
平常心で子どもと話せないことがしばしばです。
そんなときに
「ママもちょっと気恥ずかしいけれど、大事なことだから話すね」
と言って子どもと話をすることも一つの方法です。

人生にとってとても大切な“性”について
できるだけフランクに子どもと話せるように努力しましょう。
私たち大人が話すことを怠ると、子どもは信頼する人に相談できず、
ポルノ雑誌やネットなどの偏り、ゆがんだ情報源のみから性情報を得て生きていくようになるのです。
親として大切な役割であることを考えてください。

 

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